7日目は大和ヒロシ選手(フリー)です!
定期参戦をして頂いているため、特別にバトンを回させて頂きました!


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Twitter🐦→@hirochiyo 



皆様、如何お過ごしでしょうか?
最近、吟遊格闘海苔商店https://yamatohirosh.thebase.in/をオープン致しました吟遊格闘海苔商人
の大和ヒロシでございます。
しかし、「吟遊格闘海苔商人」と名乗ったものの、歌うことも闘うことも出来ず、もはや単なる「海苔商人」でございます。
いやはや、こんな状態で、一体私はここで何を書けば良いのでしょう?
普段は海苔を売る以外、ほとんど読書しかしておりませんので、何か書いてももはやそれは読書感想文になってしまうかも知れません。
いや、でも、それも面白いですね。36歳になった今、どんな読書感想文が書けるのか、私自身ちょっと気になります。しかも、最近読んでいるのは専らエロスとバイオレンスに溢れた作品ですので、それについてのリアルな描写を入れつつ書いたら新たな切り口の官能小説が書けるかも知れません。
いや、やっぱり、それはよくないですね。
何てったって、私は一度、自身で執筆した官能小説を某ブログに載せたところ、某ブログの運営から削除されたことがあるという、所謂“前科持ち”ですからね。2AWさんのブログで、そんな粗相をする分けにはいきますまい。
そんな訳で、色々考えた挙げ句、デビューしたばかりのメキシコで生活していた当時の私は今と同じ時期一体何をしていたのかなぁ、なんてことに思い至りまして、じゃあmixiを開いてみっぺと久しぶりにmixiの日記を開いてみましたところ、なんか小説を書いてやがりました。
どうやら、数日前に初めてメインイベントを闘い、その内容を記念に小説風にしていたらしいのです。
うん、そうですね。
そうなったら、もうこれしかないですね。
それでは、だいぶ前振りが長くなってしまいましたが、もし良かったらデビューしたばかりの大和ヒロシのある記憶を読んでやってみて下さい。

1 

普段よりも、その空間が狭く感じられた。 
闘いなれた、アレナ・ナウカルパンのリングである。
リングの大きさは、いつもと同じである。 
何故か。 
理由は二つあった。 
一つは、リングの周りを完全に金網で覆われているからだ。 
そしてもう一つは、そのリングの上には10人のルチャ・ドールが立っているからであった。 
肉の圧力が、実際の体積よりも多く見せているのであろう。 
金網の内側は、息苦しく感じてしまうほどであった。
OKUMURA。 
ASTRO BOY。 
FANTASMA DE LA OPERA。 
ESFINGE。 
DR.CEREBRO。 
KAI。 
CEREBRO NEGRO。 
MAZADA。 
KURANEO。 
そして僕、YAMATO。 
その10名がいま、リングにいる。 
試合である。 
メイン・イベントであった。 
僕とMAZADAによる抗争の決着の場として、この試合が用意されたのだ。 
カベジェラ・コントラ・カベジェラ。 
敗者が、坊主にさせられるというもの。 
これを提案したのはMAZADAであった。 
そして、僕はその試合を受けた。 
それが、いざ決着の場となってみると、マスクマンも数名混じるようになった。 
よって、マスカラ・コントラ・カベジェラとなった。
敗者がマスクマンの場合、そのマスクを取り、素顔をさらさねばならなくなるのだ。 
さらに、この試合のルールはかなり変則的なものとなっていた。 
ルールは、以下の通りである。 
・試合開始10分間は、バトルロイヤルである。 
・試合開始10分後は、金網からの脱出を認める。 
・最後に残った二人により、勝者と敗者を決定する。
・ギブアップ、レフェリーによる3カウントはなし。
メイン。 
金網。 
バトルロイヤル。 
レフェリーなし。 
自分にとって、そのほとんどが初めてとなる試合であった。 
緊張している。 
心臓の音が、こめかみで鳴っている。 
吐き気。 
息切れ。 
歓声が、篭もって聴こえている。 
やれるのか。 
いまのこの状態でやれるのか。 
入場口であった扉に、鍵が掛けられた。 
もう、逃げられない。 
もう、闘うしかない。 
そして、勝つしかないのである。 
まだ、緊張が解けない。 
心の準備が整わない。 
糞! 

ビーーーーーーー!! 

開始を告げるブザーが鳴った。 

   2 

始まってしまった。 
ついに。 
まだ心の準備が出来ていない。 
既に、数名の選手が突っかけている。 
直ぐに、リングの中は乱戦となった。 
自分もやらねば。 
先手必勝。 
すぐ横にいた選手にチョップを叩き込む。 
バチン。 
渾身の力で打ち込んだ。 
よろけた。 
二発目を打とうとすると、そいつが急に待てと言ってきた。 
「自分はテクニコだ。テクニコ同士、ここはお互い協力しようじゃないか。」 
と、言っているようであった。 
良く見ると、ESFINGEである。 
彼とは以前、試合で組んだことがあった。 
なるほど。 
ESFINGEのいうことも一理ある。 
一人のままでは9対1であるが、協力することで相手にする数を減らすことが出来る。 
さらに、攻撃する時には、その攻撃力は単純に考えて2倍である。 
よし、乗った。 
とりあえず、僕は彼との共闘を選んだ。 
ルードを捉える。 
片方が押さえ、片方が攻撃。 
確実に、相手はダメージを受ける。 
こちらが攻撃されても、直ぐに救出できるのでダメージは少ない。 
周りを見ると、CEREBRO NEGROが捕まっている。 
助ける。 
すると、彼もどうやら僕らと共闘してくれるらしい。
心強い。 
これで、かなり有利に闘うことができる。 
その時であった。 
横から、何者かに吹っ飛ばされた。 
むう。 
転がる。 
そこへ、全身真っ黒の男が覆い被さってきた。 
KURANEOだった。 
こいつは以前も試合で当たっている。 
ルードながら、かなりの技巧派の男であった。 
糞! 
ぬかった。 
しかし、直ぐに助けが来ると思った。 
だが、来ない。 
二人も同様に、他のルードに捕まってしまっていたのだ。 
まずい。 
がつん。 
と、KURANEOが僕の髪の毛を掴み、金網に顔面を叩きつける。 
「痛え!」 
思わず、声を上げる。 
そして、KURANEOは僕の顔面をぐいぐいと金網に押し付け始めた。 
金網が、僕の顔面に食い込んでくる。 
相当不細工な顔になってしまっているに違いない。 
屈辱だ。 
畜生! 
お前のマスクを剥ぎ取って、その不細工な素顔を世間に晒させてやるからな。 
すると、突然金網の外から、頭髪の不自由なレフェリーが僕の髪を掴んできた。 
このハゲ!血迷ったか!! 
ついに、この俺のオリエンタルで艶やかな黒髪が羨ましくなったのか? 
観客が、急にカウントを数え始める。 
ん? 
なんだ? 
もしや・・・まさか! 
そのまさかであった。 
10分が経過しようとしているのであった。 
まずい。 
逃げる準備をしなければ。 
畜生! 
放せ!KURANEO!!ハゲチャビン!!! 
そして、 
「セロ!」 

ビーーーーーーー!! 

10分経過を知らせるブザーが鳴った。

 3 

ブザーと共に、直ぐに数人の選手達が金網を登り始めた。 
僕を押さえ付けているKRANEOも、僕を放して金網に手をかけた。 
逃すか! 
足を掴み、引きずり下ろす。 
この! 
この! 
バカタレが! 
とりあえず、数回殴りつけおとなしくさせる。 
周りでも、同じ様な展開となっていた。 
登ろうとしていた者が、引きずり下ろされて殴られ、蹴られしている。 
そうだ。 
いきなり逃げようとしても、そう簡単に逃げられる訳はない。ならば、まずは選手の体力を削る側に回ってもいいのではないか? 
よし、そうしよう。 
そう思っていた時、なんとスルスルとASTRO BOY が金網を登りきっていた。 
あっという間であった。 
誰だ!逃がしやがったのは!! 
そして、気を取られた途端に、KRANEOが半分金網を登っていた。 
待て! 
必死に飛び付く。 
あと、数センチ足に届かなかった。 
登りきった。 
脱出。 
やっちまった。 
何て悔やんでる暇すらない。 
MAZADAが、この混乱の中、ひっそりと逃げようとしていたからだ。 
あんたが逃げたら駄目でしょう! 
もともとは、二人の決着の場として用意された試合だ。 
意地でも逃がさん! 
捕まえて、下に落とす。 
「KAI!」 
僕はKAIを呼んだ。 
二人で攻撃し、MAZADAを弱らせる為である。 
二人で、MAZADAをコーナーへ振った。 
背中を、コーナーに強か打ち付けた。 
間髪入れず、KAIが僕をそのコーナーに振る。 
ジャンピング・エルボーを突き刺す。 
決まった。 
よっしゃ! 
KAI、トドメだ! 
トドメだ!! 
トド・・・あれ? 
「ああああああああ!! 」
振り向くと、何と僕をほったらかして金網を登っていた。 
お、お前、そりゃないぜ! 
急いで追っかけても、KAIは既に外側にいた。 
無事に脱出し、何やら僕に向かって両手を合わせて申し訳なさそうな顔をしている。 
てめえ! 
そんなに自分の身が可愛いか! 
糞。 
何かスキャンダルのネタになりそうなモノがあったら、直ぐにmixiに書き込んでやる! 
覚えとけ! 
だが、KAIを気に為すぎたのがいけなかった。 
KAI以外にも、既に三人逃げてしまっていた。 
そして、またMAZADAが逃げようとしている。 
だから、あんたは逃げんなよ! 
足を掴んで、無理矢理下に下ろした。 
DR.CEREBRO。 
CEREBRO NEGRO。 
MAZADA。 
そして、僕。 
リングの中は、瞬く間に四人だけとなってしまっていた。 

   4 

残った選手は、僕以外、かなりのキャリアを持つ選手であった。 
極めて、僕には不利な状態である。 
もし、一斉に攻撃を仕掛けられたら、もう坊主は決定である。 
どうする? 
どうするの、俺? 
硬直状態の中、一番に動いたのはMAZADAであった。
なんと、それはとんでもなく意外な行動であった。 
僕に向かって、右手を差し出しているのである。 
本気か? 
しかし、何を今更。 
いままで、散々僕をボコボコにしておいて。しかも、先週は僕を流血にまで追い込んでいる。 
そんな男を信じられる訳が無い。 
観客が、しきりに止めておけと言っているらしい。 
観客も、そのほとんどがいままでのMAZADAの行動を知っている。 
CEREBRO NEGROが僕に声をかける。 
「駄目だ。ここはテクニコ同士、俺たち組むべきだ」
CEREBRO NEGRO、ついこの間までアレナ・ナウカルパンのチャンピオンだった男である。 
控え室では、唯一知っている日本語でいつも、 
「もしもし」 
と僕に言ってくる。 
一応、信用の出来る男、だと思われる。 
ここで、彼らと組めば一気に3対1。ほぼ間違いなく勝てるに違いない。 
だが、僕が答えを出す前に、DR.CEREBROがMAZADAに仕掛けた。 
その時、MAZADAが言った。 
「三原くん!」 
僕の名、本名である。 
そうなのだ。 
MAZADAとは、僕が練習生時代から関係があるのである。 
練習を見て頂いた時もあった。 
食事をご一緒させて頂いた時もあった。 
その他にも、色々とお世話になっている。 
そうだ、この人には恩がある。 
ここでそれを返さず、何処で返すのか。 
「MAZADAさん!」 
僕は、MAZADAさんの右手を握った。 
誰にでも解る、一緒に闘いましょうという行動だ。 
その行動で、CEREBRO NEGROがあっけに取られている。 
そこに隙が出来た。 
勝機! 
二人で一気に攻めた。 
MAZADAさんがDR.CEREBRO。 
僕がCEREBRO NEGRO。 
チョップ。 
チョップ。 
キック。 
パンチ。 
殴る。 
殴る。 
拳。 
打。 
とにかく、ボコボコにした。 
ここで、潰す。 
「行くぞ!」 
「よっしゃ!」 
DR.CEREBROをコーナーに振る。 
続いて、僕が走ってラリアット。 
すぐに、MAZADAさんがラリアット。 
二発とも、もろにDR.CEREBROの首に入っていた。 
前のめりに、その場に倒れこむ。 
もう一人。 
CEREBRO NEGROを二人で捕らえる。 
ツープラトン、二人がかりのブレーンバスター。 
背中を、マットがめり込むほどに痛打し、悶絶した。
また、そこからさらに痛めつける。 
そこで、 
「行けぇ!」 
MAZADAさんに言われた。 
それは、ここは任せろという意味なのか。 
しかし、確かにチャンスである。 
今なら、間違いなく逃げる事が出来る。 
今しか、ない! 
CEREBRO NEGROを持ち上げ、ボディスラムで叩きつける。 
よし、今だ! 
金網に走った。 
飛びつく。 
すぐに登りきった。 
脱出。 
やった! 
無事に逃げ切った! 
観客も、僕の無事を祝福している。 
「グラシアス!」 
その声に、1000万ペソの笑顔で応える。 
よかった。とにかく無事であった。 
僕はそのまま、控え室に帰ろうとした。 
その時である。 
不意に、後ろから大きな歓声が上がった。 
どうした? 
見ると、MAZADAさんがやられている。 
2対1になり、形勢が逆転してしまったのだ。 
CEREBRO NEGROが、金網から脱出した。 
1対1。 
そこで、なんとDR.CEREBROの大技が決まってしまった。 
MAZADAさんは、起き上がることができないでいる。
DR.CEREBROが金網を登り始める。 
まずい。 
このままでは、MAZADAさんが負けてしまう。 
思った時には、体が動いていた。 
僕も金網を登っていた。 
放っておいて良かったのかもしれない。 
坊主にされてしまっても良かったのかもしれない。 
それが、僕には出来なかった。 
僕はKAIとは違う。 
そうだ。 
僕は、食事中に帽子は取るし、電車の床に座り込んだりしない。 
「義」だ。 
僕は自分の「義」の心によって動かされたのだ。 
金網の頂上で、DR.CEREBROを殴りつける。 
落ちろ。 
落ちろ。 
一発、空振った。 
それを、DR.CEREBROに掴まれた。 
片腕で、僕を金網の中に引きずり込む。 
なんと言う筋力。 
凄い。 
感心している間もなく、もつれ合い、二人はリングの中に落ちた。 
「MAZADAさん」 
僕はMAZADAさんに声を掛けた。 
「やっちまいましょう!」 
「よし!」 
二人で、ロープに振った。 
MAZADAさんのエルボー。 
倒れた。 
それを、MAZADAさんが起こし、僕がそれを受け取る。 
バックから相手を抱えて、そのまま後方へ―――。 
どしん。 
と、マットが大きく揺れた。 
完璧なジャーマンが、DR.CEREBROに炸裂したのである。 
これは効いたはずであった。 
もう、起き上がれまい。 
通常なら、こなまま3カウント取れたであろうが、この試合にはレフェリーがいない。 
僕はブリッジを解き、立ち上がった。 
「やっちまえ!もっとやれ!」 
MAZADAさんが言う。 
まだか。 
さらにトドメを刺しておくべきなのか。 
コーナーに追い込み、さらにダメージを与えた。 
手で。 
足で。 
殴る。 
蹴る。 
よし、MAZADAさん。この辺でまた、連携で完璧にトドメをさしましょう。 
MAZADAさん。 
MAZADA・・・。 
「わああああああああ!」
振り返った先には、再び悪夢であった。 
MAZADAさんが、金網をよじ登っている光景が目に飛び込んだ。 
ブルータス、お前もか! 
すぐに、追いかけた。 
すると、今度は頂上で手を差し伸べてくれているではないか。 
おお! 
逃げるのを手伝って下さるのですか。 
素晴らしい。 
あなたはKAIとは違うのですね。 
僕も、金網を登った。 
これで、 
これで試合が終わる。 
その時、突如頭に衝撃があった。 
がつん。 
一瞬、何をされたか解らなかった。 
危うく、落ちそうになる。 
どうした? 
何が起きたんだ? 
なんと、登っている僕を、上からMAZADAさんが蹴り落とそうとしたのだ。 
何をするんだ! 
僕は、崩した体制を立て直そうとした。 
もう、DR.CEREBROがすぐ下に迫っていた。 
遅かった。 
捕まった。 
そのまま、肩車の状態になってしまった。 
DR.CEREBROが、僕を担いだまま後ろに倒れこむ。 
バーン、と大きな音が鳴る。 
何とか、受身が取れた。 
危なかった。 
まともに受けたら、意識が飛んでしまってもおかしくない。 
それにしても・・・。 
畜生! 
邪魔しやがって。 
DR.CEREBRO、もう許せん。 
「それを使え!」 
見ると、リングの中に、メリケンサックのようなモノが落ちていた。 
MAZADAが投げ込んだモノらしかった。 
あんた、敵なのか味方なのか!? 
迷わず、僕はそれを使った。 
この不細工が! 
短◯野郎が! 
凶器攻撃。 
普段なら、僕は絶対にそんなことはしない。 
テクニコだからだ。 
ただ、もうこの時には関係なくなっていた。 
僕は、キレてしまっていた。 
噛み付いた。 
頭に。 
DR.CEREBROの頭部の皮膚が裂け、見る見る鮮血で顔が赤く染まってゆく。 
僕の口の中も、鉄の味で満たされていた。 
ざまあみろ。 
僕は再度、金網を登ろうとした。 
DR.CEREBROが、足を掴んで邪魔をする。 
まだ動けるのか?化け物め!! 
殴って、動きを止め、ロープに振る。 
いや、振ろうとした。 
出来なかった。 
強烈な腕力。 
僕を片手で引きずり込めるだけの、人並み外れたあの腕力でる。 
逆に振られた。 
ロープに。 
まずい。 
跳ね返る。 
そのまま、逆さに抱え上げられた。 
落とされた。 
肩から。 
DR.CEREBROの膝に。 
激痛! 
あまりの痛みに、のたうちまわる。 
肩は、高校時代からの古傷であった。 
倒れたまま、ちらりと上を見た。 
そこには、ロープの上に待ち構えるDR.CEREBROがいた。 
次の瞬間には、僕めがけて飛んでいた。 
どん! 
腹に思い切り落ちてきた。 
がひゅ! 
と、僕は肺の空気を全て吐き出してしまった。 
苦しい。 
目から涙が溢れた。 
声にならない声が、僕の口から漏れる。 
それでも、必死に顔を上げた。 
DR.CEREBROが、金網を登ろうとしている。 
止めないと。 
しかし、体が動かない。 
立ち上がれない。 
這って動いた。 
まだ、諦めない。 
立たなければ負ける。 
坊主になってしまう。 
立て。 
立て! 
立った。 
追いかけようとした。 
既に、DR.CEREBROは金網を登りきっていた。 
その瞬間、試合は終了となった。 
僕の、負けである。 
負けてしまったのである。 
僕は、悔しさに声を上げることも出来ず、その場に膝からくずおれた。 
畜生!! 
僕は、膝をついたまま、マットを一度、思い切り叩いた。 

   5 

リングの上、その場で直ぐ、髪を刈られた。 
髪を刈るのは、DR.CEREBROである。 
僕は正座をして、それに臨んだ。 
目を閉じて、歯を食いしばった。 
バリカンの振動が、僕の頭を通ってゆく。 
ちらりと、目を開けた。 
目の前を、自分の髪の毛が通り過ぎてゆくのが見えた。 
思い切り、歯を噛んだ。 
耐えられなかった。 
自然と、涙が溢れてしまう。 
悔しかった。 
哀しかった 
自分が、許せなかった。 
完全に、負けであった。 
バリカンが、僕の頭を動く。 
観客が、敗者の姿を眺めに、金網の周りに集まっている。 
髪が落ちる。 
バリカンが動く。 
髪が落ちる。 
バリカンが動く。 
畜生! 
畜生・・・。 
涙が落ちた。 

(完) 

いやはや、思った以上に長かったですね。
お付き合い頂き有難うございました。
さて、それでは、そろそろお時間がきてしまいましたのでこれにて失礼させて頂きます。
また今の事態が収束しましたら、会場でお会いしましょう!
努力に勝る力なし!



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